ヒトはなぜ、ドラッグや酒やタバコ、ギャンブル、不倫、強情、問題の先送りといった、明らかに自分にとって有害だとわかっていること、後悔するとわかっている行動をとってしまうのか。
ソクラテスやアリストテレス、フロイト、フランシス・ベーコン、ヒューム、サミュエルソン、・・・といった様々な分野の人たち(心の哲学、精神分析、行動経済学、知覚心理学、ゲーム理論、カオス理論、神経生理学、神学、…)も、自滅的な行動について研究をしているが、残念ながら、この問題を適切に解明できてはいない。本書では、心理学者である著者が、経済学的な思考のなかでももっとも微視的な応用(ミクロミクロ経済学、あるいはピコ経済学)から、人間の将来予測と価値付けに結び付けて、効用主義にかわる新しい価値の考え方(双曲割引曲線)を生物学的な見地から提示する。
【目次】
1 意志を分解してみるとーアクラシアの謎(はじめにー人の選択を決めるのは欲望か判断か?/意志決定の科学の根底にある二律背反ー人の選択を司るのは欲望か判断か?/人の未来評価にはギャップがある ほか)/2 意志を分解してみるとー異時点間取引の構成要素(利益の基本的な相互作用/内的利益同士の高度な交渉/異時点間の交渉を主観的に体験する ほか)/3 最終的な意志の分解ー成功は最大の失敗(意志力が裏目に出るとき/効率の高い意志は欲求をつぶす/欲求を維持する必要性が意志を圧倒する ほか)